こんにちは、祥多です。
今回ご紹介するのはミドリイシ水槽をはじめるための水質についてです。
ミドリイシは美しい見た目と豊富な種類で人気の高い生体である一方、他の生体と比べると飼育環境が難しい生体ともいわれます。そのため、ミドリイシを始めるための環境がわからないという理由で手を出せない方も多いかと思います。今回はそんな方にも必見!?ミドリイシを飼うために最も重要とされる水質と水質を作るためのアイテムをご紹介いたします。少しでも興味を持っていただけると嬉しいです。
これからミドリイシを始める方はもちろん、なかなか上手く飼育できない方も是非参考にしてみてください。
ミドリイシを飼うにあたって最も重要とされるのが水質だと考えます。ミドリイシは他の生体にくらべて硝酸塩やリン酸塩といった栄養塩を極力抑えた海水を理想環境とする反面、カルシウムやマグネシウムなどの豊富なミネラルを必要とする、好き嫌いの多い生き物だからです。特に重要とされるのがKH(アルカリ二ティ)です。KHは本来、炭酸塩高度のことで、炭酸イオン+重炭酸イオン+カルシウム+マグネシウム=KHらしいのですが、水槽内では他の不純物も混ざり合うので正確な炭酸塩高度を計測できず、アルカリ二ティという意味になるらしいです。難しく考えず、海水にとけたカルシウムイオンとマグネシウムの量がKHくらいの解釈で充分かと思います(多分)。私も次回までにもう少し勉強しておきます。
話が少しずれましたが、豊富なミネラルを必要とするミドリイシ水槽では、KH数値が極端に低下しやい傾向にあります。逆を言えばKH数値を安定させることで、ミドリイシを格段に飼いやすい環境を作りだせるということです。
では、KHをはじめとした水質を安定させるためにはどうすればいいのか?という疑問ですが、もちろん改善方法があります。
まずご紹介するのが、カルシウムリアクターになります。
カルシウムリアクターとは、カルシウムメディア(石炭岩)をCO2添加と海水の循環を利用して、リアクター内で化学反応を起こし、カルシウムイオンと炭酸水素イオンを生成するための装置のことです。おおざっぱに言えばKH数値を向上させるための機材となります。
カルシウムリアクターを利用することで、KHを安定させミドリイシの成長や健康状態を向上させることができるのです。
注意点としては、カルシウムリアクターを使用するには上記の機材が必要となることです。リアクターの種類によっては、ポンプとは別口でリアクターに給水が必要なタイプもあるので購入前に確認が必要な点です。
以上の部分だけ見ると、取付が少し複雑、用意する機材が多いなど、デメリットが多く思えますが、設置さえしてしまえば上級者顔負けの水質を安定して維持できるため、ミドリイシを本格的に始めたい方にはオススメの機材になります。
リアクターの仕組みは何となくわかっていただけたかと思いますが、どのメーカーのリアクターが良いのでしょうか?
ここからは、祥多オススメのカルシウムリアクターをご紹介いたします。
OCTO
Cal React
静穏性、信頼性ともに高いOCTOの自社ポンプ、VarioSを採用したカルシウムリアクターです。コントローラー付きで調整が簡単なのも特徴。インサンプ、アウトサンプどちらの環境にも対応しているので後日購入もしやすいです。サイズは140(90㎝~)・200(120㎝~)・220(150㎝~)になります。またACポンプ搭載モデルもあるので、予算に合わせて選ぶこともできます。
SKIMZ
CM 117
スリムでコンパクトなため、サンプスペースが狭くても設置しやすいのが特徴のカルシウムリアクター。Cal React同様、コントローラーが付いているので扱いやすくなっています。別口での給水も不要なので取り付けが簡単なのも魅力です。サイズは1サイズですが60~120㎝までの水槽に対応できます。
他にも別の種類のカルシウムリアクターやCO2ボンベをはじめとした必要機材も多数在庫しているので、気になられた方はお気軽にご相談ください。
続いてご紹介する水質にまつわる機材はドーシングポンプです。
ドーシングポンプとは、添加剤などを自動添加する機材です。すでに添加剤は使っているが、なかなかミドリイシの調子が良くならない方にもオススメのアイテムです。手動で添加する場合との大きな違いは、時間や量にムラができないことです。ドーシングポンプは時間や回数、添加量を自由に指定できるので、安定した水質を簡単に作ることができます。カルシウムリアクターのような複雑な取付が不要、必要な物も添加剤くらいと導入コストも抑えられる点が魅力です。また添加剤を変えることで、カルシウムやKH以外のミネラルやビタミン、タンパク質なども同時に添加できるのもポイントです。
ドーシングポンプのオススメもご紹介させていただきます。
Kamoer
F4 PRO
4個口タイプのドーシングポンプです。発売されたばかりで、見た目も可愛く、当店でも人気の商品です。操作はWi-Fiを利用したスマートフォンからの操作になります。必要な添加量と添加回数を設定することで、添加時間は自動で調整してくれる優れものです。添加剤の総量を設定することで、残量がわずかになるとアラームで警告してくれる安心の設計になっています。使用する際はWi-Fi環境が必須となるのでご注意ください。
そんなドーシングポンプにオススメの添加剤も記載させていただきます。
RedSea
NO3:Po4-X
硝酸塩とリン酸塩の吸着剤です。硝酸塩、リン酸塩を除去することで褐虫藻を抑制、またコケの発生を防ぐこともできます。吸着した栄養塩をプロテインスキマーで取りやすくするためのもので、スキマーとの併用でしか低下しないので注意してください。正確な添加量で使用すれば、効果抜群のアイテムです。
RedSea
TRACE-COLORS
ミドリイシをはじめとしたサンゴの色揚げに必要な微量元素が入った添加剤。水質によって添加量に違いはありますが、水量に対しての添加量が少量なのでドーシングポンプでの添加がオススメです。
上の画像はTRACE-COLORSを使用した添加前、約1ヶ月後の比較画像です。ドーシングポンプを用いて正確に添加することで、短い期間でも色揚げをすることができます。
他にも様々な添加剤や吸着剤のご用意があるので、ドーシングポンプと一緒に是非ご検討してみてください。
さて、今ご紹介したリアクターとポンプは水質を安定させる機材ですが、使用する海水にも飼育しやすくする秘密があります。それは、生体を飼うための水、飼育用水です。当店では、飼育用水として深層水(天然海水)、ミネラル水、DIウォーターの3種類を販売しております。
その中でも、ミドリイシに特にオススメなDIウォーターをご紹介いたします。
DIウォーターは、豊富なミネラルなどの栄養が何も入っていない純水となります。では、ただの水がなぜミドリイシに良いのでしょうか?
理由は簡単です。添加より除去の方が圧倒的に難しいからです。さらに、何もせずともカルシウムなどはサンゴが吸収するため勝手に減り、硝酸塩などはサンゴの老廃物などから勝手に増えます。だからこそただの水、DIウォーターが最適なのです。カルシウムリアクターやドーシングポンプと併用することで、必要な栄養素を海水に供給して、余分な硝酸塩やリン酸塩は根源の状態から減らすことができ、ミドリイシの飼育に最適な環境を作ることができます。
更なる高みを目指す方は超純水というDIウォーターの上位互換も存在します。その純度は、50mプールにそれぞれの水を満たしたときに、水道水にはドラム缶2本分の不純物が含まれることになります。DIウォーターになるとグラス1杯分まで減ります。そして超純水に至っては小さじ一杯の不純物しか含まれません。
但しこちらの超純水に関しては当店で飼育用水としての販売はしていませんのでご注意ください。
超純水をご利用になりたい方のための機材もご紹介させていただきます。
AQUAGEEK
クロノスレイン
ご家庭の水道水から超純水を作る浄水器。逆浸透膜(圧力で不純物の入った水と不純物の少ない水を分ける方法)、メンブレン、カーボンフィルターにより不純物を約99.9%カット。リン酸を除去し、コケの発生を抑制する効果があるので、ミドリイシ以外の水槽にもご使用いただけます。生産スピードは1日で約680ℓ(1時間で約30ℓ)となるので、大型水槽の水替えなどに使用する場合は、貯水などの準備が必要となります。
超純水はミドリイシにとって究極の水とも言えますが、生産スピードが少し遅いのがネックとなります。
では、効率よく、高純度の純水作ることはできないのか?と思われた方にオススメの商品をご紹介いたします。
生麦海水魚センター
KRAKEN
当店オリジナルのDI浄水器です。当店のほとんどのサンゴ水槽にこの浄水器で生産したDIウォーターを使用しています。生産スピードは超純水浄水器の約20倍となります。アクアリウム用としてはDI浄水機を販売しているのは生麦海水魚センターだけとなっています。超純水の純度には劣りますが、それでも圧倒的生産スピードからKRAKENに乗り換えるお客様も多数の超人気商品となります。
ミドリイシには不純物の少ない純水、超純水が効果的なことがわかっていただけたかと思います。では、最後に純水、超純水に最適な人工海水をご紹介いたします。
RedSea
CORAL PRO SALT
豊富なミネラルを含んだ人工海水です。ミドリイシの成長をメインに考える場合や、ミドリイシ水槽の立ち上げから初期段階にオススメの人工海水になります。カルシウムやマグネシウムの量が高いので、添加剤などの水質調整より、こまめな水替えで水質を安定させる方が簡単だと思います。栄養価が高い分、他の人工海水と比べるとコケなども生えやすいイメージがありますが、純水との併用でコケの発生を抑制できるため、比較的安心してミドリイシを飼える初心者にも優しい海水になっています。
RedSea
RED SEA SALT
ミドリイシ水槽用と言っても過言ではない人工海水となります。プロソルトに比べると栄養バランスはやや低めですが、添加剤やリアクターとの併用で安定させやすい海水です。DIなどの純粋と一緒に使うことで、色揚げを目的とした低栄養塩システムを作るのにも最適です。
人工海水も飼育環境や飼育方針に適した成分のものを使っていただくのが良いかと思います。
以上となります。
今回はミドリイシに関連する機材やアイテム、環境についてご紹介させていただきました。ほかにもミドリイシを飼育するうえで重要とされる課題はいくつかあります。例えば光や水流、餌などです。タイミングをみて、他のジャンルにも触れていけたらと思います。
最後に今回ご紹介したアイテムの説明や水質については、あくまで私の体験や感想、考察となります。誤字や間違いが含まれている場合がございますが、参考程度にしていただけたらと思います。